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感情移入しやすい


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とらドラ 9 (9) (電撃文庫 た 20-12)
三十路を過ぎて不惑の年が近づくと感じている者です。作者さんより少し上ですかね。
この作品を見て思うのは感情移入がとてもしやすいという点。
明るく振る舞っているように見えてみんなそれぞれ悩みながら生きている。
そんな中の感情の発露がとてもきれいに描かれている。

でもね、たとえ十年後二十年後たっても悩みが無くなる訳じゃない。
ゆりちゃんや泰子がいろいろな思いを持ちながらも当面の仕事をがんばっている。
「大人」と「子供」の差は、泣いたり怒ったりできるところだと思う。
大人は泣きたいけどここで泣いたら信頼が失われる、だから泣かない。
ここで泣いたら大きな意地や目標をつかめない大事な人を守れない、だから泣けない。
これがプライドということだろう。もっと情けない自分をさらけ出して子供に理解を求める方法もあるだろう。
でもできない。さらに立ち向かう自信もなく都合の良い大河の父は逃げる。
作者はそんな「大人の事情」を突き放してはいない。全てのキャラクターがどこか憎めない。

竜児には大人の事情に偽善を感じるし、納得しているところも多分にあるけど泰子にはもっと自分を大事にして欲しい、そのためには自分も何でもしてあげたい。
そんな真摯な思いが最後の「竜の咆哮」に収斂してゆく。一つのクライマックスだろう。

竜児と能登や春田との関係が描かれていたのも良かった。
大学や会社でも友達はもちろんできるけれど、高校の時の友達は格別だと思う。
素直な疑問や感情をぶつけて愚痴を言ったり慰めたり夢を語れる。
彼らは友達を作る一番貴重な時を生きている。
いつまでもこの仲間たちで月イチでも年に一回でもいい、飲みながら腹を割って語り合う機会を持って欲しい。

アニメ化したが、心理描写をおろそかにしなければドラマ化でもいいんじゃないか?
最近マンガをドラマ化したものが多いが、特に学園モノは「平ぺったい」感じがするものが多々ある。
この作品は「ハチクロ」とはかなり違うけれど感情移入しやすい。
彼らは決してヒーローではない、等身大の高校生を生きている。

そんな変な背伸びをさせていないからこそ、5年後10年後でも読者がまた読んでみたいなと思わせる内容になっている。
疲れてやるせなくなったときに心を軽くしてくれると思う。
いわば「使い捨て」にしたくないシリーズだと感じている。
引っ越しのたびに処分しても何年か後にまた新刊で買ったものがいくつもある。
こういうものが「愛読書」というのだろう。「とらドラ!」は「愛読書候補」リストの上位につけている。
引用元:感情移入しやすい

藤村美樹

全く知らない作品だったんですが、表紙に何となくセンスを感じて中身も見ずに買ってしまいました。コミカライズ作品なのですね。
90年代かな?どこかで見たようなノリの内容に、懐かしさとどことない安心感、そして作品同様私の全く知らない作者(作画)の安定した表現能力に(当時のコミカライズ作品は、原作を知らずともクォリティに難があると思えるものが非常に多かった)、ああ、漫画も着実に進化してるのだなあとしみじみ。
読んでいて「ああ、これは漫画らしい漫画だ!」と思えた久し振りの作品なので、続きを読みたいと思います。
引用元:

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